家のはなし
おととしから持ち越している有給休暇を使い切るため、今年の年越しは長めに休みを取っている。24連休。圧倒的開放感。
旅行にも行かず、実家にも帰らずやっていることはもっぱら引っ越したばかりの家の整理。2年前に買った古い家のリノベが終わり、いよいよ住み始めるのだ。
リノベにあたっては、数年前から何度も読み返している「あるノルウェーの大工の日記」に憧れて、大工さんとコミュニケーションしながら家を作るプロセスを選んだ。
知り合いの不動産屋から、LINEで頻繁に連絡がとれるような若い大工を紹介してもらったのは2年前のいつか。平屋をいちどスケルトンにしてから、どの柱を抜くとか梁を残すとかを考えるプロセスは楽しかった。工期や時期を向こうが都合のいいときにちょっとずつ進めるというのんびりしたものだから、その代わりじゃないけど、こちらから言いたいことを全部言えた。去年の夏に工事がやっとはじまってからは、頻繁に現場に足を運び、その都度あたらしいプランの話し合いをした。
これを期に、家の役割についてずいぶん考えた。
帰る場所としての家。これは多分ずっと変わらない。
U2が確執のあった父について歌ったSometimes You Can't Make It On Your Own に "a house doesn't make a home"という一節がある。ハコだけ作ってもダメなんだよ、ということで、せっかくの持ち家だから長く愛でていきたい。賃貸との一番の違いは思い出の蓄積。これに尽きる気がする。
シェルターとしての家。
「これから100年くらい、パンデミックは増え、自然災害も活発化する」というシナリオ(内閣府デジタル・防災技術ワーキンググループ未来構想チームの提言 2021 )を鑑みると、より原始的な家の機能、すなわち「シェルターとしての家」の重要性が上がると感じている。他人との接点を最小限にすることが求められるパンデミック社会において、安心できる場所の価値は高まるだろう。
役割が増えること、変化すること。
工期期間中に、30m2の1Kアパートに引っ越していた。食事後のテーブルはワークデスクに代わり、Web会議でウチはソトになった。家の役割がいちにちの中で変わることについて、職住融合という言葉もあるけどまだしっくりこない。職は住というか生活の中にあるから対等ヅラしないでほしい。ウチとソト、集中と安らぎ、騒と静、食事と排泄、その時々で柔軟に役割を変える空間は、布団と押入れのある和の家の発想か。
去年なにかで読んだ「どんなに貧乏な団地にも客間があった。あれはなんだったのか」みたいなやつをもう一度読みたい。
違国日記の感想、見返りを求めること。
違国日記の最新刊、カムアウトに対する朝のレスをみてうわあとなり、朝の父の同僚の朝へのリスペクトのなさにうわあとなり、笠町くんのそれに救われる。子供を子供扱いしない大人たちが好き。
好きな覆面アーティストがいる。
好きすぎて、覆面の正体を特定してしまい、メインの活動のほうのインタビューも動画も全部みた。そっちのほうもまた素晴らしく、思いの丈を覆面のほうのアカウントにDMしてみた。齢30にして、人生はじめてのファンレターである。そしたら返信をいただけて、舞い上がってしまった。
上述の違国日記の感想、twitterでやれる文章量なのにわざわざ久しぶりにブログ記事にしているのは、ファンレターへの返信に味をしめた自分が無意識に、作者からの反応待ちをしているのに気付いてうわあってなったから。
普通に他者と生きていたら、日々は見返りを求める行為だらけなのに、自覚的になると急に恥ずかしくなるのは何なんだろう。身近な人に求める見返りと、自分が一方的に知っている人/イメージを持っている人に期待する見返りは分けないと危なそう。
そういう意味では、朝の父の同僚の感じはすごく正しいものだったのかも。
最近聴いてる音楽 2021年8月
King Gnuと舐達麻. yonigeはちょくちょく聞く。
わざわざダウンロードして聴いたのは
- Apple MusicにあるSnoop Dogg Uncle Snoop's A BLACK MUSIC STORY(2020)
- J Hus / BIG CONSPIRACY(2020)
- Weezer / OK human(2021)
- Ryohu / DEBUT(2021)
- ハンバートハンバート / 愛のひみつ(2020)
ずっと聴いてるのは
- Vampire Weekend / Father of the Bride(2019)
- E^ST / I WANNA BE THERE (2020)
逆にあまり聞かなかったのは
- 東京事変 / 音楽(2021)
過去分
2020年: 生活の潤いの部分 - 淵野辺から世界へ!
2019年: 最近よく聞いているアルバム - 淵野辺から世界へ!
カムアウト
『anone,』 というサービスを使ってみた。ideas for goodによると『anone,』は「セクシュアリティ診断アプリ『anone,』は、ジェンダーとセクシュアリティに特化した診断サービスだ。「心の性」「恋愛指向」「性的指向」「表現したい性」という4つの分類をもとにした66個の質問が存在し、その一つ一つに答えていくと、ユーザーの今の状態に最も近いジェンダーやセクシュアリティの分析結果が出てくる。』
というわけで早速、大体わかっていたけど、自分の結果は
こころの性 = シスジェンダー(体の性とこころが一致している)
恋愛指向 = パンロマンティック(恋に性別はいらない) / リスロマンティック(恋に両想いはいらない)
性的指向 = パンセクシュアル(セックスに性別を気をしない)
表現したい性 = ノンバイナリー(男性でも女性でもない)
だそうだ。
恋愛指向について補足すると、自分の感覚的には、10年前よりも今のほうがよりパンな感じはしている。あるいは5年くらい前はもっとバイに近かった気がする。このグラデーションは常に変わるので、まあそういうもんかと思っている。
私の結果はこれ。 https://anone.me/inquiries/2ae21d2d1c3ccb35690ce3edd1c5bb03
悲しい曲の何が悲しいのか
少し前に昔使っていたYoutubeアカウントにログインできてしまい、最近はそのときの視聴履歴にまつわるオススメをされている。
今日、U2xPavarottiのMiss Sarajevoがトップに出てきて、悲しい歌を聴いて泣く儀式を思い出しやってみた。ハタチくらいのときにやってた、文字通り、悲しい曲を聴いて涙を出すソロイベント。
QUEENのThese Are the Days of Our Livesやニッポニア・ニッポンの怠け者、李香蘭の蘇州夜曲、アジカンの海岸通り、Bob MarleyのRedemptiono Song、奥田民生のCDJまたは志村地元ライブの茜色の夕日、東京事変の落日、Oasisの2ndアルバムとかを聴いて浸るやつ。前回いつやったのか覚えていないけど、今回は今まで一番多く泣いた。プライベートでも仕事でもストレスだらけだからだろうか。
最近、寝る前に「悲しい曲の何が悲しいのか」という本を読んでいる。心の哲学に関するもので、すっごくわかりやすいし、挙げられている曲が変わっている。こういう人、美美とかクロ研に居そうって思ったらやはり近しいところにいるよう。多分、マーラーもストーンズもリアーナもスティーブライヒもぼくりりも坂本冬美もいける人だと思う。
登場人物
大学生のときによく食事に誘ってくれた人の名前がタイムラインに出てきた。
懐かしいと思いながら、その流れを見てたらどうやら人を殺したらしい。
その人の良いところしか知らないし、一緒に仕事したこともないし、正直なにも知らないに等しいけど、自分の人生の登場人物がこういうかたちになるのはなんとも言えない。
■
この夏から今までは、人生でいっちばん長く憂鬱が続いた期間だった。
ネガティブなことがとにかく立て続けに起こり、参ってしまっていた。誰にも連絡したくないのはもちろん、創造的なことができないとか、感情が動かないとか、そういうのが何ヶ月も続いた。
とにかく考えていたのは、死なないこと。
心理状態が終わっているときに、体調も崩したらまじでヤバいと思い、運動の継続や環境を整えること(空気清浄機、入浴剤、あかり、香り)に細心の注意を払った。この辺の自己防衛本能的なやつは、海外生活で培ってよかった能力のひとつ。
あとは古典を読むことのがよかった。SNSを見ないことは、コロナの感染者数を追わないこと、誰かの感情に触れないことに繋がってよかった。
youtubeはひたすらNPRのtiny deskを流してた。
秋がきて、山にたくさん行った。たくさん焚き火もした。
在宅ワークはとにかく24時間つながってしまうから、そこから離れることがよかった。
もちろん、空気が張り詰める感じも、音を聞くのもよかった。
そんな感じで気づいたら復活してた。