淵野辺から世界へ!

20代。140字以上。

アメリカでの自己紹介の仕方。世界で戦えるキャリアの作り方。

インターンのためにパロアルトに来ている。craigslist.comで見付けたシェアハウスで、スタンフォードの医学部の人たちと暮らしている。彼らは好奇心旺盛で、東京からアリゾナを経由してきた僕の話を根掘り葉掘り聞いて来る。どっから来た、何を勉強している、インターンはどんな感じだ、なんて。

 

アメリカにきてから自己紹介は山ほどした。自分はどこから来たこういう人間で、今はこんなことをしていてこんなことに興味がある。これからこういうことをしたい。話しながら相手の関心にひっかかりそうなことを選ぶスキルなんてのもなんとなくついた。

 

自己紹介のときに一番これは日本とは違うなっていうのが学校の話。日本だとドコの大学?って会話になって慶応って答えたらそれ以上は聞かれない。大抵の人は『あ、そうなんだ』ってなって終わり。だけど、なんせ誰も慶応なんて知らないので「そこでなにをやってるの?」という踏み込んだ話になる。これはすごく面白いし、より何かが生まれやすい環境だと思う。『そんなことやってるんだ!俺の友だちも同じ様なことやってるよ!』的な感じでコラボレーションが実現したりとか。どこの大学に所属しているかより、あなたが何をやっているかの方が大事。これが当たり前であるべきなんだけど、日本では肩書きが物を云う。

 

ここまでアメリカ万歳みたいなことを書きながらも、自分が最初につまずいたのはこの部分だった。それまで誰にも聞かれてこなかった「で、そこでなにやってるの?」という質問にどう答えていいかわからなかった。結果、日本でやっていたインターンの話をすることが多かった。インターンに出会えて本当によかったと心から思った。

 

シリコンバレーでは自己紹介の最初の30秒で、自分はどんな人間でどんなアイデアを持っているのかを言えないと相手に興味を持ってもらえない。「はじめまして。僕はxx。yyを実現するためにzzという活動をしているよ」を如何に面白げに語れるがとても重要。逆に言えば、英語が苦手でも最初のこれだけちゃんとできれば相手は自分の言葉を一生懸命理解してくれようとする。残念ながら、言語ができなくて話の内容も面白くない人には誰も時間をくれない。英語が話せないのが問題ではなく、話の面白さが問題なのだ。

 

アリゾナでの生活の終わりのほう、アメリカでのインターンを探していた。履歴書を作って、企業に送り、インタビューにこぎ着けるっていう一連のプロセスをこなしていた。だけど、有名大学所属という肩書きが無くなったとき、履歴書に書ける自分の武器は何もなかったため、それは非常に大変な作業だった。留学したから英語はできる。だけどその辺のアメリカ人の高校生よりはできない。ビジネスについて勉強したけど、経済学部で理論をやった奴には知識で勝てない。アウトドアが好きでサークル活動もしたけど、体育会のそれとは別次元。自分の履歴書には企業がわざわざ外国人である自分を採用するにはパンチがなかったし、これは自信があるという分野でも『勝てるかもしれないけどそれを履歴書で表現・証明できない』という問題も抱えていた。学生に説得力なんて無いんだけど、自分の力を証明するやり方がわからなかった。そもそも何の力があったのかもわからないけれど。

 

日本で働くのには、履歴書に慶応って書いてあったらとりあえず会ってもらえると聞いた。だけど海外では誰も慶応なんて知らないので、面接までいくハードルは日本より高い。だから将来のキャリアを考える上では、大手の外資に入るのが一番良い気がしている。

 

シティバンクは世界中にあるし、コカコーラを知らない人はどこにも居ない。もちろん、そこで何をやったかが一番大事だから、外銀で何もしていない人より地銀で大活躍している人の方がいい人材であることは往々にしてあるだろう。会社の世界的な知名度に固執することはない。だけど日本だけでもこれだけ銀行があり、世界にも山ほど銀行がある中、面接までこぎつけるならどこで勤務するのがいいのだろうか。自分の中身を見てもらえるステージに立てるのは、誰か。

 

英語が喋れない、大学で全然勉強しない、専門性がない。そんな人が世界で名の通った企業に入れるのは日本でだけだ。別にそこに入ってどうだってことはないし、新人教育的には日本の大企業の方がしっかりしていると聞くからそれが将来にどう影響するのかはわからない。だけど。

 

『出自のよくわからない日本人だけど、あの企業で働いたことがあるのか。ふむ、会ってみよう』を目指そう。その前に、英語が話せる、大学で勉強した、専門性のある日本人も目指そう。