淵野辺から世界へ!

20代。140字以上。

最強の中小企業の作り方。

Facebookで17万likeを集める人気のページがある。

 

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土屋鞄製作所という革製品を扱う工房だ。

土屋鞄製作所は、従業員210名、売上高38億円の至って普通の中小企業。Facebookページも、流行の診断アプリは無く、iPadが当るキャンペーンをやっているわけでもなく、写真を更新するだけだ。 なのに、17万(男女比10対7)ものファンがいる。

その魅力は更新される写真の工夫のされ方。普段伺い知ることのできない職人達の日常をすごく効果的なやり方で伝えてくれるから「俺もいつかはここで鞄を買いたい」と思ってしまう。トヨタの「いつかはクラウン」みたいな感じ。違うか。

 

要するに「職人にとっては普通なこと、でも普通の人が面白いと思うこと」の選定がめっちゃ上手いのだ。

これ、文字にすると簡単だけど、実際に考えてみるとすげー難しい。

 

僕は伝統工芸品の見せ方を四六時中考えていた時期がある。職人の日常を切り取って、お客さんとの距離を縮めて、商品の背後にあるストーリーを伝えようと頑張った時期がある。工房、家族、休憩中の様子、街全体、、、とにかく人間味やストーリーを伝えるのに四苦八苦した。そんな風に考えて、実際に動いたことがあるからこそ、土屋鞄のページのすごさが十二分にわかる。

ひとつの鞄が生まれるまでにどんな人たちが関わっていて、その人たちはこういう思いでやっていて、っていうのを伝えてくれる。すごい。土屋鞄で買物したら、思わず人にこの鞄はね、って話を始めてしまいそうだもの。

 

一つ注文をつけるとしたら、動画がダサい。vimeoに企業ページがあるのだけれど、どれもいまいちクオリティが低い。というか、写真がすごすぎるから、動画にも同じものを求めてしまう。質の高い動画の更新を始めたらきっと本当に手をつけられなくなる。

 

 

確信。日本の多くの職人と呼ばれる人たちが土屋鞄のようなアプローチを仕掛けられたら、日本は変わる。 縮小し続ける日本の伝統工芸品産業が絶対変わる。有名デザイナーとコラボするより、彼らが元々持っている魅力を伝えた方が、長く、無理なく続くだろう。柳宗理とコラボした南部鉄瓶が一過性であったのは記憶に新しい。

 

職人が無理なく続けられるっていうのはとても重要なことで、これを考え抜いた結果上手くいっているのがGood Design Companyと中川政七商店のコラボだったり、あとはちょっと違うけど越後妻有のトリエンナーレもそうか。あれは地域に元々ある魅力を研究しつくして、無理なくアートとくっつけられている。3年ごとっていうのもポイントっぽい。

 

 

こんな風に、未来を考えるのが、好きだ。

今ある素敵なものが、これからも素敵であり続けるための方法を考えるのが、好きだし、将来も多分こういう方向にいくと思う。それは広告なのか、Growth Hackerなのか、コンサルタントなのか、わからないけど。