淵野辺から世界へ!

20代。140字以上。

脱毛と世界と人生の振り幅

女友だちが「腋の脱毛をした。もっと早くやればよかった」と言っていた。

「自分で処理するのにかける時間は週単位、月単位だと膨大なものになり、しかも煩わしい。これからの人生で、永遠に毛の処理に悩まされなくて済むと思うと決して悪い投資ではない」

「中学生くらいの時に思い切ってやってしまえばよかった」

とのことだった。

 

 

最近、同期の友だちの動向が滅茶苦茶気になっていた。片っ端から連絡を取ってみて、シュウカツの話を聞いて、学部卒業時24歳の自分は大丈夫かなと不安になっていた。それは、自分が2年休学して世界に出ることに対して不安になっていたから。どうにもならなかったらどうしようってなってたから。

 

先輩に「さっさと卒業して逃げ場を無くしたほうがいい」「現実逃避の休学になってないか」と指摘いただき、すごく悩んでいた。3週間くらいは悩んでいた。悩み抜いて出した答えは『22歳の今しかできないことをやろう。』

「若いうちに2年も外に出る選択をできる人、それを実現できる環境にある人ってそんなに多くない。そしてその経験はきっとこれからの人生を何倍も豊かなものにする」って信じることにする。

世界に出ることに年齢制限はないし、定年後の第2の人生として世界に出ることも可能だ。だけど、若いうちにそれをやることで今後の人生の様々な場面、特に何か決断を下すときに世界での経験が生きると思う。人生は決断の連続だ。腋の脱毛と同じで、世界に出るのも早ければ早い方がいい。

 

映画監督の伊丹十三は子育てを始めた頃、子どもにいいものだけを与えるという方針でやっていたそう。だけど少しして「良いものを良いものとして感じるには良くないものも与える必要がある」と思い直し、玉石混淆のモノを与え始めたそう。これは正に自分が常々思っていることの一つの「人生は浮き沈みが激しいほど豊かになる」に通ずるものがある。良くない時期があるから、良い時期を良いものと感じられる。酸いも甘いも知っているから、今目の前にあるものと適切な距離を保てる。とにかく、より早く、より"雑多"な経験を、よりたくさんしたい。

 

ところで世界に出るって一体なんだろう。

カルカッタの露店でモノを売ることも、国連事務総長としてニューヨークで働くことも、僕の中では同じ"世界に出ること"だ。二者に共通するのは、雑多な人種やバックグラウンドの中で生きるということ。そしてこの"雑多"の幅が日本にいるときより幅広いということ。

これまで属してきたコミュニティ内にもヤンキーや起業家、エンジニア、政治家、外交官、音楽家、と結構雑多な人たちがいた。チームで何かやるときにはできるだけ色んなバックグラウンドのメンバーが集まっていた方が面白かった(し、その分調整が超大変だった)。世界には当たり前にもっと色んな人がいる。そんなまだ見ぬ彼らと何かやったらきっと面白いだろう。というかこれはつまらなくてもいい。「世界も見てきたけど、日本が一番面白い」って感じられたらそれは十分な成果だ。東京から出たことのない人に東京の良さはわからない。

 

 

MITメディアラボの伊藤穣一氏が評価されているものの一つに類稀な調整能力がある。メディアラボ所長に就任したばかりの彼に「伊藤さんがメディアラボで期待されていることって何ですか」と質問した際も「色んなバックグラウンド、研究分野の人をくっつけることかな」と仰っていた。彼のようなコネクターとしての「雑多のマネジメント」はこれからの世界で求められる能力の一つになるだろう(だから皆キッカケを掴む為に留学したらいいと思う)。

 

 

 

元NTTの夏野剛教授がSFCでの授業で「これからは雑木林型の会社だけが生き残る」と仰っていた。曰く「日本企業がかつて世界一だったのも、ダメになってしまったのも理由は同じで、スギ林型の人材(均一・没個性)を集めたから。これから生き残るのは雑木林型の集団。」だとしたらこれから必要になるのは彼らをまとめる・つなげる力だと思う。自分が変化球になるのはもちろんだけれど、スギともガジュマルとも上手くコミュニケーションできたらそれは強みになる。

ライフネット生命岩瀬大輔副社長がブログの中で、グローバル人材のロールモデルとして河合美宏(Yoshihiro Kawai)氏をあげた。河合氏は特に”国籍を問わず、相手の心を動かすことができるコミュニケーション能力”が優れていて、国籍を問わず信用されていて、尊敬を集めているという。岩瀬氏自身もダボスでの活躍や先ほど発表されたスイスリーとの提携を見るとこの能力に優れているとわかる。思えばダグ・ハマーショルドもコフィー・アナンもそうだった。村井純も西本智美も長友佑都もそうだ。一流は皆、国籍を問わず、相手の心を動かすコミュニケーションができる。そんなことができたらものすごくエキサイティングな人生になるだろう。考えただけでわくわくする。

 

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振り幅の大きい人生にしたい。

休学の残り1年は準備し、考え、実行する年にしよう。もう悩まない。