先週のある日、アリゾナは奇妙な天気だった。
晴れ→雨→快晴→雨→雹→雪→曇り
という、世界の終わりを思わせる、とても不思議な日だった。
そんな不思議な空の下、僕は痴女に遭った。
その日、僕はカタール人の友だちと昼飯を食べていた。
話が盛り上がりすぎて(たしかイスラム世界の一夫多妻制についてだったと思う)授業の開始に30分くらい遅れた僕は、雪が降りしきり、通りに人もまばらな中、早足で教室に向かった。
道中、50mくらい先に、こっちを見ている人がいるのに気付いた。通りには僕とその人だけしかいなかった。
近づくにつれ、ブロンドの彼女は上裸であることがわかった。ジャケットを郷ひろみのように脱いでいて(一応、袖は通しているようだった)、おっぱいをぽろんとさせながら、こっちを見ていた。年は20歳から25歳くらいというところか。普通の学生のようだった。
美人局?ドッキリ?カメラどこ?一夫多妻制?と、混乱しながらも、僕は立ち止まることなく、彼女に"Hi"と声をかけた。彼女はウィンクを返してくれた。僕はウィンクより、おっぱいに目がいっていた。それはもう、立派なおっぱいだった。
僕らはただ、寒いねと言ってすれ違った。
彼女に背中を向けるのはとても恐かった。
僕はさっきよりも早足になって、教室に向かった。